満月~full moon~



それでもなんとか前へ進もうとした時、足がもつれて倒れ込んでしまった。

その衝撃で、また吐き出した。

だけど、倒れ込む時に携帯だけは掴んだ。

とにかく、誰かに電話しなくては……。


その時、激しく後悔した。

何で、ためらわずに飲んだんだ。

陽子たちのことがあったんだから、自分も気をつけなくちゃいけなかったのに。

先に志保に確認すれば良かった。

少しでも、誕生日だってことに浮かれていた自分が悔しかった。


もうダメだってことは分かっていた。

それでも、恭介に電話しようと携帯の画面を見て、震える手で操作した。


そのとたん、目の前が真っ暗になった。

手の力が抜けて携帯が落ちる時、偶然発信ボタンが押された。




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