満月~full moon~
act.3*三日月
『今から行くから、出る準備しといてっ』
夜も遅くなった頃、慌てた声で恭介から電話があった。
「え、何で?」
よく分からずに、首を傾げる。
『詳しくは行って話すからっ』
それだけ言うと、恭介は一方的に電話を切った。
いつも冷静な恭介にしては珍しかった。
人前で焦るなんて。
何がなんだか分からないまま、とりあえず言われた通りに出る準備をした。
準備が出来た頃に恭介が来て、彼の車に乗り込んだ。
「ねぇ、何があったの?」
運転している恭介に向かって言った。
その恭介は、やっぱり焦っている。
運転がいつもより荒かった。