満月~full moon~



「さっき、達成から電話があった。
だけど、こっちが出たのに何も返って来ないんだ」


「えっ?」



驚いて恭介を見る。

恭介は、ちらっとアタシを見たあと、また前を向き、続きを話す。



「何度か呼んだんだけど、反応がない。
なのに、勝手に切られたんだ」


「えっ!?まさか、達成に……」


「分からない。
志保の家に行くまでに、何度も電話をしているけど、出ないんだ」



その話しを聴いたアタシは、血の気が引いてしまった。

イヤ、まだ何かあったと決まった訳ではない。

もしかしたらただ、寝落ちしただけかもしれない。

何もないことを祈りたい。

もう、これ以上仲間を失いたくない。


だけど、そんなささやかな願いすら叶えてもらえなかった。




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