満月~full moon~
その中で、ワインの瓶が倒れていた。
どうやら、臭いの元はコレみたいだ。
「達成っ!!」
アタシがワインの瓶に触れようとした時、急に恭介が大声を出した。
そして、しゃがみ込む。
その様子に、胸がドクッと鳴る。
ゆっくり、おそるおそる恭介の元へ行く。
するとそこには、胸を押さえて倒れ込んでいる三咲達成がいた。
口の周りには、赤い水たまりが出来ていた。
「達成っ!?」
少しぐらいは、予想していた。
それでも、実際目にすると驚いてしまう。
そして、無我夢中で達成の体を揺らす。
だけど、恭介がその手を止め、首を横に振った。
「た、達成まで……」