満月~full moon~



だから、電話口で頷いた。

だけど、すぐにはっとした。



「そうだってことは、この情報は犯人に近づいているってこと?」


『そういうことだな』



アタシが明るく言うと、恭介はいつものように静かに言う。

そして、すぐに真剣な口調で言う。



『ただ、それだけ危険が近づくことになる』


「危険?」



意味が分からないアタシは、首を傾げる。



『犯人に近づけば近づくほど、俺たちが殺される可能性は高くなる。
犯人だって、捕まりたくはないだろうし』



それもそうだ。

アタシたちだって、同じようなことをしている。

犯人の心理は分かる。

捕まりたくないから、自殺させたんだ。




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