満月~full moon~



急に話しかけたためか、彼女はすごく驚いて振り向いた。

だけど、すぐに優しい眼差しで、ふんわりとした笑顔になった。



「浅見さんとは、仕事が一緒だったんです」



そう言った彼女は、表情を曇らせた。

だけど、ここにいる理由が分かった。



「陽子の後輩だったんだ。
それでわざわざ……」


「うちの上司も気にしてましたから。
何で、こんなことになったのか」



表情を曇らせたまま、続けた。


そんな様子を見て、心優しい子。

そういう印象を持った。



「ところで、あなたは?」



不思議そうに、彼女はアタシに訪ねてきた。




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