満月～full moon～

気のせいだと言ったところで、不安が解消される訳ではない。

やっぱり、アタシが悪いんだ。



「どうかされましたか？」



目に見えて沈んでしまったアタシに、彼女が心配そうに言った。



「あ、何でもないよ。えっと……」



今更ながらに、名前を聴いていないことを思い出した。



「あ、そっか。
浅見さんの仕事の後輩、赤石美月です」



彼女も名前を言っていないことに気づいたらしく、ふんわりした笑顔で言った。

その笑顔を見た時、この子は絶対モテるだろうなとそんなことを思った。



れから、み美月ちゃんと少し話しをしてから、また逢おうと約束して別れた。

もっと詳しく陽子の様子を聴きたかったからだ。