満月~full moon~



その痛みをこらえつつ、後ろを振り返る。

そこには、訪ねてきた相手が凄い剣幕でアタシの背中を押している。

そのため、痛みが増していく。


手元をよく見ると、刃物が見えた。

そこで、ようやく気づいたんだ。

アタシは、背中を刺されたのだと。



「どう……して……?」



もの凄い痛みと闘いながらも、相手にこんなことをされる理由が分からず聴いた。



「理由、分かっているんてしょう?」



相手は、ここに来て初めて言葉を発した。

その口調は、憎しみに溢れていた。



「じゃあ、あなた……美佳のっ」


「そう、美佳の妹、由佳だよ」



やっぱり、妹がいたんだ。




< 67 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop