満月~full moon~
その痛みをこらえつつ、後ろを振り返る。
そこには、訪ねてきた相手が凄い剣幕でアタシの背中を押している。
そのため、痛みが増していく。
手元をよく見ると、刃物が見えた。
そこで、ようやく気づいたんだ。
アタシは、背中を刺されたのだと。
「どう……して……?」
もの凄い痛みと闘いながらも、相手にこんなことをされる理由が分からず聴いた。
「理由、分かっているんてしょう?」
相手は、ここに来て初めて言葉を発した。
その口調は、憎しみに溢れていた。
「じゃあ、あなた……美佳のっ」
「そう、美佳の妹、由佳だよ」
やっぱり、妹がいたんだ。