満月~full moon~
その言葉に、また驚いた。
誰もいないことを確認したはずだった。
なのに、よりによって美佳の妹に見られていたなんて。
「落ちたとたん、今のあんたみたいに血がいっぱい出ていた。
あたしは、あんたらに復讐するためだけに生きてきたんだ。
これで、残るはただ1人」
冷たい表情で笑う。
その顔は、今まで見たことがなく、本気なんだと思えた。
すでに3人も殺しておいて、今更本気も何もないけど……。
この事実を、恭介に伝えたかった。
だけど、彼女の訪問が家に帰ってすぐだったため、携帯を通話中にしていない。
そして、手元にもない。
体を動かそうにも、指1本動かせない。