満月~full moon~



その言葉に、また驚いた。

誰もいないことを確認したはずだった。

なのに、よりによって美佳の妹に見られていたなんて。



「落ちたとたん、今のあんたみたいに血がいっぱい出ていた。

あたしは、あんたらに復讐するためだけに生きてきたんだ。
これで、残るはただ1人」



冷たい表情で笑う。

その顔は、今まで見たことがなく、本気なんだと思えた。

すでに3人も殺しておいて、今更本気も何もないけど……。


この事実を、恭介に伝えたかった。

だけど、彼女の訪問が家に帰ってすぐだったため、携帯を通話中にしていない。

そして、手元にもない。


体を動かそうにも、指1本動かせない。




< 69 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop