満月~full moon~
納得した直後、急に美月が大声を出した。
俺は、それに驚いて少し怯んだ。
その時に気付いた。
時間はとっくに過ぎているはずなのに、志保の姿が見当たらない。
「志保さんの家、分かりますか?」
「え?知っているけど……」
美月が俺の袖を掴んで、必死になって言っている。
もう1人の子も、なぜか焦っている。
俺は、未だに状況が掴めずにいた。
「家に連れて行ってくださいっ!
志保さん、電話に出ないんですっ」
美月が早口でまくしたてる。
俺も、携帯を取り出し電話をする。
コール音は鳴るけど、全然出ない。
そのとたん、背筋が凍った気がした。