満月~full moon~



納得した直後、急に美月が大声を出した。

俺は、それに驚いて少し怯んだ。


その時に気付いた。

時間はとっくに過ぎているはずなのに、志保の姿が見当たらない。



「志保さんの家、分かりますか?」


「え?知っているけど……」



美月が俺の袖を掴んで、必死になって言っている。

もう1人の子も、なぜか焦っている。

俺は、未だに状況が掴めずにいた。



「家に連れて行ってくださいっ!
志保さん、電話に出ないんですっ」



美月が早口でまくしたてる。

俺も、携帯を取り出し電話をする。

コール音は鳴るけど、全然出ない。

そのとたん、背筋が凍った気がした。




< 75 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop