満月~full moon~
まさか志保までと言う想いが、俺の足を、全身を固まらせる。
「早く行きましょう」
2人に引っ張られる力で、ようやく足が動いた。
そして、志保の家へ急いだ。
その道中、何回か電話をするけど、1度も出ることはなかった。
車を飛ばし、志保の家に着く。
誰よりも早く、インターホンを押す。
だけど、誰も出てこないし、物音もしない。
「恭介さん、これっ」
急に、美月が驚いたように言った。
震えながら指さす先は、ドアの鍵穴付近だ。
そこには、赤いものが付着していた。
「これ、血じゃない?」
もう1人の子がそう言った。