満月~full moon~
確かに、血に見えた。
やっぱり、志保までやられたのか?
俺は急いで預かっていた合い鍵で開けようとした。
だけど、鍵は開いていた。
考えるよりも先にドアを開ける。
そのとたん、むせるような臭いがした。
今回は、ワインではなく、本当に血の臭いだ。
その臭いに怯んだ俺をよそに、女性2人は先に入っていった。
「きゃっ、きゃあぁぁぁーーーっ」
急に、2人の悲鳴が聴こえた。
その悲鳴に、ドクリと心臓が高鳴る。
急いで声のする方へ向かう。
そこは、キッチンだった。
そのキッチンの床は血の海になっていて、その上に高木志保が息絶えていた。