満月~full moon~



だけど、警察に止められてしまった。

それでも私は、無我夢中で彼女に近寄ろうとした。


事故に遭ったのは、私の高校時代からの仲間である池内亜弥だった。


私がこの道を通って、今から逢おうとしていた人物だった。

その相手が、目の前で事故に遭っていた。

その事実に気付いた私は、頭の中がパニックになった。


なぜ、亜弥がこんな目に遭っているのだろう。

言葉を発して以来、何も言わない。

目も閉じてしまっている。

周りでは、「もうダメね」なんて言っている。

誰の目から見ても、そう見える。


だけど、信じたくない。

そんなこと、あって欲しくない。

亜弥が死ぬなんて。




< 8 / 137 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop