満月~full moon~
だけど、警察に止められてしまった。
それでも私は、無我夢中で彼女に近寄ろうとした。
事故に遭ったのは、私の高校時代からの仲間である池内亜弥だった。
私がこの道を通って、今から逢おうとしていた人物だった。
その相手が、目の前で事故に遭っていた。
その事実に気付いた私は、頭の中がパニックになった。
なぜ、亜弥がこんな目に遭っているのだろう。
言葉を発して以来、何も言わない。
目も閉じてしまっている。
周りでは、「もうダメね」なんて言っている。
誰の目から見ても、そう見える。
だけど、信じたくない。
そんなこと、あって欲しくない。
亜弥が死ぬなんて。