満月~full moon~
ただ、それを知っているのは俺だけ。
他には知られないように、巧妙に仕組んだ。
だから、犯人も知らないのだろう。
「大知は純粋だった。
アンタが無理矢理犯したのに、自分が悪いかのように自らを責めた。責め続けたあげく、自殺したんだ」
『やめてよっ!
そんな話しを今更蒸し返して……なんなの!?』
我慢出来なくて、彼女がキレた。
今までは、こうなったら俺は焦って彼女を宥めていた。
だけど、もう焦ることはない。
これ以上、彼女は俺を縛ることは出来ないから。
「次、俺が殺されます。その時に、あなたの存在を犯人に教えます」
『えっ……?』