満月~full moon~



うなだれる彼女に向かって、素直に謝った。


この姿を見ると、後悔してしまう。

やっぱり、自分を犠牲にするべきだったのか。

そうしたら、こんなことにはならなかったのか。


だけど、今更後悔したって遅いんだ。

全てがもう、起きてしまったあとなのだから。

後悔するよりも今、出来ることをする。

それは、彼女の罪を増やすことになるだろうけど、彼女も真実を知った方がいいだろうから。

そのあとは、彼女に任せる。



「黒幕は、美佳と同じ会社で働いていた広瀬智子だよ」


「広瀬、智子……?」



かなり驚いた表情をしている。

それもそのはず。

彼女自身も智子と知り合いなのだから。

そして、1番慕っているであろう相手だ。




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