満月~full moon~
何かを諦めたのだろうか。
さっきまでの睨みつけるような眼差しとは違い、普段の優しい眼差しになっていた。
その表情を見て、俺は本音で話そうと思った。
「後悔しているんだ」
「後悔?」
「美佳じゃない、智子がやったんだと言えなかったこと。
……だけど、俺こそ美佳を利用したのかもしれない」
「……え?」
優しい眼差しが、また鋭い眼差しに変わった。
可愛い顔をしているけど、目には迫力がある。
その目を見れば、嘘は吐けない。
本当は、誰にも言わずに終わろうと思った。
だけど、今のこの状況でそれは出来ない。
全てを吐き出してしまうべきだろう。