満月~full moon~
「人殺しっ!!
たったそれだけのことでっ……!」
彼女は、勢いよくまた胸ぐらを掴んだ。
さっき以上に、キツい表情で迫る。
「しょせん、人間なんてそんなものだよ。
……今の君だってそうだろう?たかが義理の姉、ちょっとの間一緒にいただけじゃ……」
「血の繋がった姉妹よっ!」
俺の言葉に被るように、大きな声で言う。
その彼女の言葉に、俺は驚いた。
親は再婚同士のはずだ。
だから、義理のはずだろう。
「確かに両親は再婚同士よ。ただ、学生の時に付き合っていた。その時に、お姉ちゃんが産まれた。
だけど、家の事情で2人は結婚出来ず、別の人と結婚した。
それでも忘れられなくて、いけないと知りながらも1度だけ過ちを犯した。その時にあたしが産まれた。
あたしは、両親が結婚する時に全てを聴いた。
いつかお姉ちゃんにも話そうと思っていたのに……」