シャッフル
 店を出る際に紗代里と番号を交換した。

 正直、プライベートで女性と番号交換なんて何年ぶりだろうか。

 彼女はよく笑って親しみやすさもあった。話していてとても楽しくて……これっきりになるのが嫌だった。

 そして――、彼女の奏でるピアノをまた聴きたいと思った……。

――――――――――
――――――

「今日はありがとう。楽しかったわ」

 彼女は車を降りると助手席の窓を開けた俺に笑顔でそう言った。

「いや、こちらこそ楽しかったよ」

「あ、ねぇ。今日はずっと貴方の事、常務君って呼んでたけど本当の名前聞いてもいいかしら?」

「名前言わなかったか?鈴木 遠也だ」

「――!!」

 それを聞いた彼女の顔が一瞬固まる。

「……なに?俺の事知ってるの?」

「えっ!?ううん!似たような名前の知り合いがいたなーっと思って」

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