シャッフル
「今月もありがとう。来月は第3日曜日だけお願いするよ。これ今月分」

「ありがとうございます」

 いつものようにピアノが終わると、コーヒーを二人で飲む。月終わりの最後の演奏を頼んだときに、給料をいつも払っている。ピアノをお願いするのはだいたい月に4,5回ぐらいだろうか。

 だか、来月は忙しくなりそうで休みも少ない。憂鬱にはなるが仕方ない。1回でも彼女のピアノが聞けるだけマシかもしれない。

「第3だけ?仕事忙しいの?」

 マグカップを持ったまま、不思議そうに向かいに座る俺を見る。

「ああ。事業拡大を考えてるんだ。色々と準備が必要でね」

「そう。大変だね」

「悪いな。来月はあまり金にならなくて」

「ううん。そんな事ないよ。一杯練習する時間があるから頑張るね」

 そういうと、ニコッと可愛らしい笑顔を見せる。最近はピアノの音色以外にも癒されてるように思う。
 彼女と過ごすほんのひとときは、肩にのし掛かる色んな重圧から解放されるようでもあった。
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