シャッフル
「いつか自由になれる時まで夢は見ないって決めてピアノを辞めたんだ。今思えばそんな自由いつ来るんだろうって感じだけどな」

 少し呆れたように笑うと紗代里は哀しそうな顔をして俺を見た。

「それで初めてピアノ演奏した大好きな子犬のワルツの楽譜を燃やしてケジメをつけようとしたんだ――――――――――
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 当時、小学3年生の俺は子供と言うこともあり、ライターやマッチなんて物を大人が貸してくれる筈もなかった。

 小さな頭で色々考えた末、いい案が浮かんだんだ。

 俺が小学生の頃は学校のゴミは敷地内にある焼却炉に捨てていた。そこなら燃え尽きるまで見届けられると思い、学校に持って行ったんだ。

 放課後になると、校舎の裏にある人気のない焼却炉へ向かう――。

 すると焼却炉の前でジッと燃える火を見つめる女子生徒がいた。

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