シャッフル
 土曜日――。

「おかえり遠也」

 実家に帰ると、母が嬉しそうな顔をして俺を出迎えた。

「お昼食べた?カレー作ったんだけど食べる?」

「いや、来る前に軽く食べて来たから」

「そう……」

 少し寂しそうに母はそう言った。

 その時、弟の雅也が部屋から出て来た。

「あら雅也、何処か出掛けるの?」

 母が靴を履く雅也に訊ねる。

「大学の友人と少し会ってきます」

「気を付けてね」

 母がそう言うと、靴を履き終わった雅也と目があった。

「いいな、お前は。相変わらずお気楽で」

 そう鼻で笑い冷めた目で雅也を見ると、雅也も鋭い視線で俺を見たが何も言わず出ていった。

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