シャッフル
 紗代里は上目遣いで挑発的に見つめてくる。

「私は遠也が好き……。ずっと好きだったの」

「……」 

「ねぇ……。遠也」

 紗代里は俺の頬の撫でる様に触ると、ゆっくり顔を近づけてきた。

 抵抗しない俺に紗代里の唇が重なりそうになった寸前――。

「すまない……」

 小さく呟くと紗代里の動きが止まる。

 頬に触れた紗代里の手を掴んでゆっくり下ろした。

「俺も紗代里は好きだ。だけどそれは恋愛感情じゃない。友人として好きなんだ……。」

 悲しみに揺れる瞳――。その綺麗な瞳に罪悪感を感じる。

「出来れば紗代里とはこれからも友人として居てほしい……。でも紗代里の気持ちをしった以上、無理にとは言わない……」
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