シャッフル
 女性が苦手な事を知っている森岡が俺に気を使ってくれているのがわかったが、不思議と彼女に対しては嫌悪感がわかなかった。

 それは多分……彼女が素晴らしいピアノを演奏する人だから――。

 興味が湧いたんだと思う……。

「ありがとう森岡。でも大丈夫だ。今日は楽しく飲みたいし彼女と一緒に飲もう」

 そう小声で返すと、森岡は少し驚いた顔をした。

 そしてすぐに彼女に向き直る。

「いいですよ。俺達で良ければ一緒に飲みましょう」

「良かった。ありがとう」

 嬉しそうに彼女は笑うと、俺の隣の椅子に座りマスターにドリンクを注文した。
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