シャッフル
「遠也の事その時は知らなかったみたいだったけど、クラスの子に聞いて名前を知ったらしいわ。それから遠也を見かける度にドキドキしたって……。初恋だったらしいの」

「え!?」

 驚いて思わず紗代里を凝視する。

 そんな俺に紗代里は困った顔をした。

「だから、遠也に会って名前を聞いた時は驚いた。只の同姓同名かな?って思ったけど、携帯に付けたイルカのビーズの話を聞いて確信したの……。茜の初恋の人だって……。でも遠也は特に想いれがある訳でも無さそうだったけど、車に乗せてあった茜のCDを見て正直……驚いた」

 そう言うと、また目を少し伏せた。

「なんでその時に南大寺さんと友達だって言わなかったんだ?」

「嫌だったから……。茜のファンだって話す遠也の嬉しそうな顔を見ると、言いたくなかった……。茜に嫉妬してたの。言えば遠也は絶対私を見てくれることはないって思ったから……」

「紗代里……」

「でも……結局無理なんだけどね」

 そう言いながら悲しい顔で紗代里は笑った。

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