君のためにできること
「おーい、志麻ッ!」

「た、貴史?!だめじゃない!走ったら・・・。」

「だーいじょうぶだって!オマエってば心配性だなぁ。・・・ったく、これくらい走ったくらいで倒れたりしないって。」

「でも・・・。」

「ほら、現に何ともないじゃん。な?さっさと歩かないと、遅刻するぞ。」

「うん、そだね。」

私、吉野志麻(よしのしま)の幼なじみの麻生貴史(あそうたかし)は、人より脆い心臓を持っている。

小さい頃の貴史は学校どころか、入退院の繰り返しの毎日で、私はよく寂しがる貴史のもとへ足を運んだ覚えがある。

でも今は、ちゃんと学校にも通っているんだから、あの頃よりも貴史の心臓は強くなったのだろうか・・・?

「・・・志麻?」

「ん、ナニ?」

「オマエ・・・何考えてる?」

「別に何にもっ。」

「あまり変なコト、考えるなよ。」

そう言って貴史はポンっと私の頭をこづく。

「だーかーら!何も考えてないって。」

「そうか?ならいいんだけどよ。」


「あぁ。麻生くんって本当にかっこいいよねー。」

「ナイスなボディだし(笑)」

私と親友の波子(なみこ)を含めた何人かと、男子がバスケをする姿をボーッと眺めていた。

今日の体育の授業は担任が休みのため、男女混合で行われていた。

「でもさー、志麻。」

「ん?」

「麻生くんて運動できないんでしょ?」

「そうだよ。」

私はちょうど反対側の体育館のスミに友達3人と腰を降ろして話している貴史を見る。

「なのに何であんなイイ体してんだろうね。あの胸にギュッと抱かれたーい!」
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