君のためにできること
何とか、二人の間の気まずい雰囲気をなくそうと、私は一緒になってスケッチを拾い集める。

そこで初めて、彼の顔を見た。

「オレ、1−Fの葛城咲弥(かつらぎさくや)って言います。勝手にあなたのスケッチ、描いてすみません。」

彼は小声でそう言った。

私は首を横に振りながら、

「ううん。あんな上手に描いてくれたんだもん。ちょっと驚いたけどね。」

スケッチを全部拾って、彼、葛城くんに手渡す。

「おわびにオレ、お昼ご馳走します。だから一緒しませんか?」

葛城くんに真っすぐに見据えられて、私は断るに断れない。

何故って、彼はジャニーズばりにかっこいいからだ。

多分、由加チェックが入ってるだろうけど、それくらいイイ男なのだ。

しかもハーフかな?

瞳の色がとても明るい。

まぁ、その辺のことは聞いてみないとわからないけど。

ちらっと横の貴史を見る。

貴史は一目でわかるくらいに不機嫌な顔をしていた。

「悪いのはぶつかった私の方だし、そんな気にしないで、ね?」

私がそう言うと、すかさず貴史が私の腕をつかんで、

「行くぞ。」

と引っ張った。
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