君のためにできること
「ちょっと貴史!手、痛いよ。」

私がそう言うまで、貴史は私の腕をつかんだままだった。

「・・・悪い。痛かったか?」

「痛いに決まってるじゃない!ほら、ここ見てよ。貴史の指の後がついてるでしょ?!」

「だから、ごめん!何かアイツの態度とか、ムカついてさ。勝手に志麻を描きやがって、許せねーよ。」

「・・・いいじゃん、もう。そりゃあ私だって、いつどこで見られて描かれてるかなんてわからないんだから、気持ち悪いけどさー。描いてる人もバレちゃったし、もうスケッチなんてあからさまにしないと思うよ。」

「そうだといいけどなー・・・。アイツ油断なんない気がする。」

「平気だって!さ、食堂行ってランチとろ?」

「んー・・・。」

何だか納得のいかない貴史のようだったが、運動をしてオナカがペコペコだった私は、貴史を急かし食堂に入った。

Aランチを二つ買って席に着くと、前の席にほぼ同時に座ったのが葛城くん+その友達だった。

「あれ?!葛城、あの人オマエの・・・。」

「ああ、もうバレちゃったんだよ、さっきね。こんにちは、吉野さん。」
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