君のためにできること
「貴史ってば、そんなにカリカリしないでよ。いいじゃん、もうそのことはさ。それよりコーヒーでも飲まない?」

「んー・・・。」

「じゃ入れてくるわ。ちょっと待っててね。」

そう言って立ち上がる私に、

「あ、待て。オレが入れてくっからさ、志麻は座っててよ。」

と貴史は私の肩を押した。

「え、何でよ?それくらいできるって!」

「いいんだよ、座ってろって!!」

そんなこんなで二人でもみ合っていると、

「貴史、ドライバー貸してくんない?」

いきなりドアが開いて、貴史の兄、洋平が顔を出した。

「お・・・まえ、ノックぐらいしろよ!」

「悪いな、取り込み中・・・って、何だ、志麻か。」

「ようちゃん、久しぶり!」

洋平は貴史より5つ上の大学生だ。

滅多に家にいることがないので、こうして顔を見たのも久しぶりだった。

「へっえ。しばらく見ないうちに随分きれいになったんじゃない?」

「ホントー?」

「でーも、ちょっとその格好は・・・。貴史くーん、あんまし志麻におイタしないようにね。」

「うっせーよ。ドライバーなら下にもあるだろ。早くでてけよ。」

「はいはい。じゃあ志麻、ゆっくりね。」
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