君のためにできること
「今日の放課後、暇ですか?」

「何で?」

「うちに来て欲しいんです。オレ、自分で描いた絵、美術室に置いてないから・・・。オレが吉野さんを描きたいって思った、最初のきっかけの絵を見せたいんです。・・・だめ、ですか?」

どうやら思ってた以上に葛城くんの意志は堅いらしい。

このまま安易に断るわけにはいかなそうだ。

そのためにも、一度葛城くんの絵を見てみたい気もする。

・・・貴史には言わずに、葛城くんのうちに行ってみようか?

きっと貴史にそのことを言ったら、どうせ断るのに、何でわざわざ絵を見に行く必要があるんだ!って怒鳴られるに決まってる。

私の中で、気持ちが二分した。

どうしたら、いい?

「麻生さんの了解を得て・・・と言うなら、昼休みにでも返事をください。じゃあ、とりあえず、昼休みに吉野さんの教室にうかがいます。」

そして学校の玄関口で、葛城くんと別れた。

そのあとが、大ブーイングの嵐だった・・・。
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