君のためにできること
でもきっと、その絵を見たら、モデルを断りづらくなるんだろうなっていうのも、

半分は承知の上だった。

貴史は・・・嫌がるだろうな。

「じゃあ放課後、迎えに行きますね!一緒に帰りましょう。」

「うん、待ってるね。」

すっかり舞い上がってる葛城くんと別れて振り向くと、目の前に貴史がいた。

「あ・・・。」

いつの間にそばにきたんだろ。

全然気づかなかった・・・。

「モデル、引き受けるのか?」

じっと私の顔を見つめながら、貴史は言った。

「まだ・・・わかんない。まずは私の絵を描くきっかけとなった絵を見せてもらおうかなって思っただけ。」

「ふーん・・・そう。おまえら、いつの間にすげー仲いいのな。」

それだけ言うと、貴史は自分の席に戻ってしまった。

もしかしなくても、怒ってるの?

私は訳がわからずに、ただ呆然とそんな貴史の姿を見つめていた。
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