君のためにできること
「ただいま。どうぞ、入ってください。」

なかでもひときわ大きな家に、

葛城くんは颯爽と入っていく・・・。

うわ。

ほんとに、正真正銘の坊ちゃんだわ。

唖然とする私をよそに、葛城くんはすたすたと家の中に入っていってしまう。

「あ、オレの部屋、こっちです。・・・大丈夫ですか?」

「ごめん、きょろきょろして・・・。余りに大きなおうちなんで、びっくりしちゃって・・・。」

そわそわと落ち着かない私を見て、

葛城くんも困っているようだ。

だって・・・。

すごいんだもん、このおうちが。

うちの何倍あることか!

しかも使用人さんまで、ちらほら見かけるし・・・。

「広すぎても、落ち着かないですよね。オレだって、ずっと住んでるけど、落ち着きませんもん。も少し、こぢんまりとしてるほうがいいな。」

そう言って、葛城くんは寂しそうに笑った。
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