君のためにできること
私は真っ赤になる。

さっき由加の言ってた“ナイスボディ”や“イイ体”という言葉がぐるぐると頭の中を駆け巡る。

本当に由加の言う通りだ。

貴史ってば、運動もなにもしないのに、体の線がすごくキレイだ。

なーんて、私ってばエッチなのかなぁ。

「なーに赤くなってんだよ。オレの裸見るの、初めてでもないくせに。」

そう言って貴史はまたもにやっと笑う。

「別に赤くなってなんか・・・。え、貴史・・・な、何よ?!」

「やーめた。これでオレが志麻のこと抱き締めたら、オマエ失神でもしかねないもん。」

「抱き締め・・・って・・・。」

「なぁ、屋上行こうぜ。暖かいからきっとすぐ乾くよ。」

そして貴史は、私の手を引っ張ると階段を勢い良く上がる。


そのときだった。


「あ・・・いて・・・。」

貴史が痛そうに左胸を押さえた。

「貴史?!あ・・・と、先生呼んでくるッ!」

けど貴史は私の手を離そうとしない。

「お願い!貴史・・・手、離して、ね?」

「だ・・・大丈夫・・・だって。いつものやつ・・・やってよ。そした・・・ら、すぐ良くなるか・・・ら。」

「あ、うん。そうだったね。貴史、大丈夫?」
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