君のためにできること
「えっ・・・。」

「あ、図星?まさか、“オレの胸で眠りたーい”とか?」

「・・・まさかっ!そんなの全然思いませんー。」

「ちえっ。残念だなー。」

「で、いつまでくっついてるつもり?治ったんだから離れてよ。・・・いくら貴史とはいえ、慣れてないんだからさ。」

私の心臓は、もう爆発寸前だった。

いくら貴史だからといっても、貴史だって男だし。

しかも裸だし。

私はこれ以上がないってほどドキドキしていた。

「・・・オマエ、赤くなりすぎ。相手はオレだぜ?」

そう言って貴史は私の体から離れた。

「何よ、それ。貴史だって男でしょう?!」

「こーんな弱っちい男なんていないって。」

貴史は笑いながら階段を上って行ってしまう。

「ねぇ、貴史。」

「あぁ?」

「弱くても何でもいいから、貴史がいい・・・って言ったら?」

私がそう言ったとき、後ろ姿の貴史の肩がびくっと動いた。

貴史はそのまま動かない。

「ねぇ、答えてよ?」

「ーーふざけんな、って言うだろうな。」

そして貴史は振り返らずに、そのまままた階段を上った。
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