つぼみ、ほころぶ
そうこうしてる間に家に到着した。お母さんとあたしだけ車を降りる。


「泊まっていけばいいのに」


母は可愛い息子たちとのお別れが名残惜しいことこの上ないらしい。確かに、ふたりが働き出してからはそういうことも少なくなった。


「ごめんね、おばさん。明日は仕事が早いからまた別の日に。おじさんにも久しぶりに会いたいし」


「ごめん、おばさん。オレも明日の準備が忙しくなったからさ」


「ユウちゃん明日休みじゃん」


「チイ様の為、だろ」


不敵に笑うユウちゃんは楽しそうだ。ひとりだけ呑んだお酒が今効いてきたのかもしれない。
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