つぼみ、ほころぶ
「それは駄目よ。――でも、お母さんもまた食べたくなるかもしれないわ、実のところ」
「うん。だよねー」
「美味しかったものね。――今日はありがとう、一馬君」
そう言って、母は運転席のカズくんに丁寧に頭を下げた。
「こちらこそ。おばさんにはいつもお世話になってるし、おじさんは残念だったけど、チイちゃんの卒業祝いをさせてもらえたんだし。ありがとうございます」
「ええ~っ! お父さんはいいよっ。具無しの焼きそばが好物で、何食べても反応薄いからつまんないもんっ」
「チイちゃん、酷いなあ……。まあ、味覚はウチの父さん同様残念だけど、一人娘の卒業は祝いたかったんじゃないかな」
「……ううっ……ですよね」
反省だと、赤信号の間、後ろを振り返ったカズくんから鼻をつままれてしまった。
「うん。だよねー」
「美味しかったものね。――今日はありがとう、一馬君」
そう言って、母は運転席のカズくんに丁寧に頭を下げた。
「こちらこそ。おばさんにはいつもお世話になってるし、おじさんは残念だったけど、チイちゃんの卒業祝いをさせてもらえたんだし。ありがとうございます」
「ええ~っ! お父さんはいいよっ。具無しの焼きそばが好物で、何食べても反応薄いからつまんないもんっ」
「チイちゃん、酷いなあ……。まあ、味覚はウチの父さん同様残念だけど、一人娘の卒業は祝いたかったんじゃないかな」
「……ううっ……ですよね」
反省だと、赤信号の間、後ろを振り返ったカズくんから鼻をつままれてしまった。