つぼみ、ほころぶ
――


きっかり三十分後。


リビングに姿を現したあたしの格好に、ユウちゃんは眉をひそめる。


「っ、何っ? ユウちゃん」


「……いや。そこまでラフだとは予想外だ」


「だったら最初にもっと言ってよー」


軽い運動にも対処出来るようにと、ジーンズに チェックのシャツを羽織ってきた。


窓の向こうは柔らかな日差しに包まれてて、この天気が急変するみたいな予感は全然ない。大外れだったのは、あたしの予想のほう。


「まいっか。行くぞ、チイ」


そう言って、ユウちゃんは愛車の鍵を手にとり、大人の合宿の幕は開けた。
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