つぼみ、ほころぶ
「チイちゃん、こちらにお座り下さい」


案内された先は、完全に個室じゃなかったけど、人目を気にするようなことはない空間だった。出入り口のドアはガラスだったけど、残りの壁は落ち着いた色合いの木製だった。


「ここなら緊張しないだろう?」


「あ、ばれてた?」


「昨日から予想済み。僕もユウもね。アイツ酔ってたから、この部屋への念押しがしつこかったよ」


「災難だったねえ」


身体を覆うカバーをかけてもらいながら、もう一度今日の予約内容を訊ねた。


「とりあえず――可愛らしく、かつガキくさくならないように、チイの好みを優先で何でもやってやってくれ、だってさ」
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