つぼみ、ほころぶ
そうしてあたしは、また昨日の不安を蒸し返す。


カズくんは嫌がらずに、そんなことはないと言ってくれる。


違うと、言ってくれる。


「例えば、礼儀だったり、社会に出て行く基本常識に関しては、チイちゃんは大丈夫。だから甘やかす。――でもま、猫っ可愛がりしたいだけなとこもあったりしてね」


「何よ。じゃあ、この未来に対する不安を解消してくれるわけじゃないんだね」


「それは誰でも感じるもの。知らない場所へ行くのって、やっぱり怖いんだ。突き当たる壁は個人だけのものだから、その時にならないと助言だってしてあげられないしね」


それはカズくんも? 訊ねたら、そうだって頷 く。


現金だけど、あたしだけじゃないって知ると、少し気持ちが楽になってしまった。
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