つぼみ、ほころぶ


――


「いいか。ここからは彼氏と彼女の態で行くからな」


念を押されながら車を降りた先は、大きくてそれなりに格式がありそうなホテルの地下駐車場だった。大安吉日なのか、華やかな衣装の人たちもちらほら。


「まさか、誰かの結婚式にあたしも出席?」


車を降りてさっさと歩いていってしまうユウちゃんの後を追う。


「もしかして、ユウちゃんを振った元カノにユウちゃんの幸せな姿を見せて安心させるか嫉妬させようとかっ? ――あっ、でもそれなら、あたしじゃインパクト弱いよね」


「阿呆」


「まさかっ!! あたしお見合いとかさせられる展開っ!?」


「じゃあ何で彼氏彼女装うんだよ。優しい彼氏に暴言ばっかだな」


「……彼氏だったら、彼女の歩調に合わせてくれてもいいんじゃない?」


詰めの甘いユウちゃんは、そこでやっとあたしに近寄ってくれた。
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