つぼみ、ほころぶ
「もしかして、飾り立てたあたしを売り飛ばすっ?」


なんて。これはもう冗談だけど。


「……チイ様の歴代彼氏は、そんな外道ばっかだったのかよ?」


「っ!! ……そこまでじゃ、なかったもん……」


軽い冗談は、破壊力のある爆弾として跳ね返ってきてしまった。


言葉無くしたあたしは、隣を歩くユウちゃんに従ったまま、エレベターに乗って地上へと上がっていく。


辿り着いた第二の目的地は、ホテル内のカフェだった。


別段、売り飛ばされるわけでもなく、そのカフェでは、春のケーキバイキングが催されてた。


「昨日の中華は、胡麻団子と杏仁豆腐だけだったからな」


「――、マンゴープリンも、あったよ」


昨夜漏らしたケーキ欲を、しっかりと覚えててくれたらしい。
< 36 / 112 >

この作品をシェア

pagetop