つぼみ、ほころぶ
すっかりバイキングも堪能させてもらい、最後の一切れだと決めてたイチゴのレアチーズケーキを口に含みながら、もうとっくにギブアップしてるユウちゃんに疑問を投げかける。


「でも、ユウちゃん。どうして彼女だって嘘つくの? べつに誰かに言いふらすわけでもなしだし、設定いらなかったんじゃない?」


「もっと小声で喋れよ」


「え? 何で?」


「周りに聞こえるだろうが」


それがいったい何に支障があるのか全く分からない。女子率が高いこの空間では、相変わらず喧騒が止む気配はないし、聞こえても構わないと思うのに。


なのにユウちゃんはぼそぼそと呟く。
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