つぼみ、ほころぶ

「そっちのが見栄えいいじゃねえか。妹のわがままに付き合う兄貴より、彼女の好物に嫌な顔ひとつせず付き合う彼氏の方が周りのお嬢さんに好印象だ」


「ほうほう」


人の独断と偏見って面白い。


「いつ何処で、オレに恋のチャンスがやってくるか分からんからな。気は抜けん」


「ユウちゃんは大きな間違いをしてるよ」


むむむ、とあたしの言葉の続きを待つユウちゃんはほんとに分かってないみたいだ。コーヒーカップを運ぶ動作もストップしてる。


「彼女の設定あったら、シャイなお嬢さんは寄ってこられないでしょうよ」


「……っ!!　しまったっ」


「そういう人のが好みなくせに。ああ残念」


お腹も満たされたことだし、ノックアウト寸前のユウちゃんの肩を叩き、退場を促すことにした。