つぼみ、ほころぶ
突然、交差点を左折して、ユウちゃんはその先のコンビニに突然車を停めた。ちょっと考えようとしてくれてるんだろうか。


「ユウちゃん。言ってみただけだからほんとに行かなくていいからね」


「会長の言う通り、箱根と言ったらやっぱ温泉だよな。――連れてってやる。代えのパンツくらい買ってこいよ」


「……本気?」


「だったら? もっと喜べよ」


「わ、わーい?」


「足りんなあ」


……、


……っ、ええいっ。もうこうなったらやけくそだ。


「っ、ワーイッ!! 超嬉しーいっ!!」


それだけ叫ぶと、あたしはコンビニへ走った。


後ろから声だけが追いかけてきた。


「サイズ間違えんじゃねえぞっ!」
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