つぼみ、ほころぶ
――……


「…………、ユウちゃん」


「うん? 早く降りろよ。いくらあちらが迎える側だとしても、あまり待たせるもんじゃねえぞ」


飄々とした態度でユウちゃんは車を降りて、トランクから一泊旅行に最適なサイズのボストンバッグを取り出した。


……だから、ユウちゃん自分のパンツはいらなかったのかな。中身が見た目通りの内容だったらだけど。


あたしの視線の意味に気づいたのか、ユウちゃんは鬱陶しそうに答える。


「仕事で、急に泊まりとかあるからな」


「それはいいけど……この空間は何? 豪華でしっぽりしすぎてて挙動不審になるんだけど」


「いいから早く。車はもう係の人に任せるし、オレらはもう部屋行くだけだから。空に星がくっきり見える前に動かないとどうなるか……、チイ、それと――」


慌てて車を降りたあたしに、ユウちゃんは小声で、またあの約束を持ち出してきた。


「――こっからオレがいいって言うまでは、チイはオレの彼女な」
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