つぼみ、ほころぶ

「一昨年のクリスマスイブにさ、オレここ泊まったんだよなー」


「ああ。だから女将さんとも知り合いなんだね」


「てか、数多の客があるのに、一度きりの、一般庶民のオレを覚えてる女将さんがさすがなんだが。……まあ、それについては、そん時一緒だった奴が社長の息子で、その親父が贔屓の客だったってのがあるんだけどな」


「ゲッ……イブに男とふたり? ユウちゃんって……」


だから、あたしにさっきみたいなことも平気で。


「んなことあるかっ! オレは性癖も一般だっ」


「……そんな宣言されてもね……」


「っ、うん……まあ、そうだな。……で、そん時な――」


ユウちゃんの言うことはこうだった。
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