つぼみ、ほころぶ
カズくんにアレンジしてもらった髪をまだ解きたくはなかったけど、必要だった時間には敵わず洗うことにした。


まるで何かに備えるみたいに身体を念入りに洗ってる事実に気づき、途端に恥ずかしくなって湯船へ飛び込んだ。


けど、お湯の熱さに長時間耐えられなくて、早々に湯船から脱出。


春霞のかかった月夜を眺める心の余裕もなんてものもなかった。


露天風呂だったから外気温に長く耐えられるはずもなく。


結局、あたしは、短時間で部屋へと戻ることとなった。


――大丈夫。落ち着きはほとんど取り戻した。
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