つぼみ、ほころぶ

部屋へ戻ると、ユウちゃんがまた電話で誰かと話してた。


「――っ!!」


聞き取れなかったけど、電話の向こうの相手と言い争ってる様子だった。


あたしに気づいたユウちゃんはその電話を一方的に終わらせ、交代だと、自分もお風呂の準備を始める。


「おおチイ。風呂、どうだったか?」


「いいお湯でした」


そうか、とユウちゃんがあたしの頭をいつもそうするようにぽんと触っていき。


「っ、――」


「どうした?」


「ううん。何でもない」


「? そうか」


――うん。大丈夫だった。


いつものユウちゃんだったし、いつものあたしだった。
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