つぼみ、ほころぶ
「……ううっ。食べ過ぎた。苦しい」
いつも以上の食欲で平らげた数々の豪華な料理のせいで座ってることも困難になり、あたしはその場で横たわる。
「勿体ねえから吐くんじゃねえぞ、チイ」
「するもんかっ。ていうか、ユウちゃんが惚れた料理なことだけはあったよ。あたし、生麩があんな美味しいって初めて知った。天ぷら最高っ」
「一番に挙げるのが生麩ってのはなんだが、オレを巨匠みたいに言うなんて素晴らしいじゃないか。――まあ、ここはそういうレベルなとこってだけだ。もう一生泊まれねえ」
「社長になればいいんじゃん?」
「名案だ」
「へへっ」
「とりあえずはオレも苦しいから寝る。それから社長への算段をするとしよう」
机の向こうでユウちゃんも寝転んだけど、直後に食事を片付ける連絡があって、すぐにふたりとも起き上がらなければいけなくなってしまった。