つぼみ、ほころぶ
離れで良かった。
勢いよく閉めた脱衣所の扉の音が激しく辺りに響いた。こんなんじゃご近所迷惑極まりない。
「っ、なんなんだっ?」
通常に戻ったあたしの乙女回路は、ユウちゃんの言葉ひとつでまた焼き切れた。
力任せに浴衣を脱いで露天へ向かう。
修行僧みたいに頭からかけ湯をして、水泳選手みたいに湯船に飛び込んだ。
頭まで、全身を熱くてたまらない湯に沈める。
……あたしはやっぱりいやらしい。
たしかにシュチュエイションはバッチリだ。
でもただそれだけ。
他は何もないのに。
なのに、あんな冗談にこんなに恥ずかしがってしまった。