つぼみ、ほころぶ
「っ! ――チイ、目、覚めたか?」
「…………、ユウちゃん、だぁ」
夢から覚めたあたしは、心地いい風を浴びながら、布団に横たわってた。
聴こえてた声は現実ユウちゃんが、風も、ユウちゃんが扇いでくれてたものだった。
「苦手なくせに、熱い湯に長風呂なんてするからだ。――ほら、スポーツドリンク飲んどけ」
ペットボトルにストローを挿して、寝たままでも飲めるようにと口元へ持ってきてくれる。
「ありがとう」
まだぼうっとしたままで、差し出されるままにユウちゃんからスポーツドリンクを飲ませてもらう。
――あ、美味しい。
身体中に染み渡った冷たい液体は、最後の砦だったもやもやした壁もあっさりと崩していってくれた。